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2012年10月 3日 (水)

第53話 断られた理由

 数え切れないほどお見合いをした私は、数え切れないほどの相手から断られている。その理由も数え切れないほどある。「お話が合わないので…」といった無難ものから、はっきりと私の欠点や問題点を指摘したものなどさまざまだ。

 大阪のOLとお見合いをしたが、当時、私がヘビースモーカーだったことが災いした。お見合いの後すぐに、仲人さんを通じてお断りの連絡があった。仲人さんは「彼女の前でたくさんタバコを吸ったそうですね。『自分の健康に気を使わない人は失格だと思います』とはっきりとおっしゃっていましたよ」と語った。この言葉にショックを受け、私は禁煙をしようという気になった。

 経済部記者だったころ、証券会社のOLとお見合いをした。彼女は仕事柄、経済に詳しく、多くの企業の業績や内情について詳しく教えてくれた。私はとても勉強になり、彼女と会うのが楽しみになった。だが、3回目のデートの後、仲人さんを通じてお断りの連絡があった。その理由は「経済部の記者さんなのに、経済についてあまりご存じないのです。がっかりしました」。仲人さんからこう聞かされた時、私はかなり真剣に傷ついた。

 神戸のOLとお見合いする前、世話好きの先輩から「新聞記者の奥さんは大変だぞ。お見合い相手には最初にそのことをはっきり言っておかなければだめだ」と説教された。

 「俺たちは深夜まで忙しいから、俺のかみさんは新婚以来、ずっと晩飯を1人で食べている。団地だから窓からよその家庭が楽しそうに家族そろって夕食をとっている光景が見えるらしい。かみさんから『それを見ながら砂をかむような思いで夕食をとっているのよ』といつも言われるんだ。新聞記者と結婚するのなら、その覚悟をもってもらわなくてはいけない」

 お見合いをした神戸のOLにその話をすると、彼女の表情が険しくなった。お見合いの後、「私には新聞記者の奥さんになる自信がありません」というお断りの連絡が仲人さんを通じてあった。そのことを先輩に言うと、「バカだな。初めにそんな深刻な話をしたら、相手は引くに決まっているだろ。よく考えろ」と反対に怒られた。大好きな先輩だったが、この時はすごく恨めしかった。

 私はお見合いを始めたころ、断られるたびに、ショックを受けて傷ついた。お断りの理由が「お話が合わないので…」という差しさわりのないものであっても、私は自分が引け目に思ったり、劣等感をもっている欠点や問題点を思い浮かべ、「そのためにだめだったのだろう」と厳しい現実を見せつけられる思いになったり、「何回、お見合いをしても結果は同じでは…」という意識にさいなまれた。

 しかし、断られる回数が増えるにつれ、断られることにも慣れてきた。「私は私だ。少しでも人間として向上したいと思っているが、欠点を含めて私の個性だ」と開き直れるようになった。そう思えるようになって、お見合いで自分の欠点や問題点についても冷静に話せるようになった。

 そのうち、相手から断られそうな雲行きになると、「彼女はどんな理由で断ってくれるのだろうか」とお断りの理由を聞くのが楽しみになるほどの“余裕”ができたこともあった。

  子どものころ、ガキ大将からけんかで勝つコツを聞いたことがあった。コツとは殴られることに慣れること。お互いに子どもだから、パンチを受けてもそんなに痛くない。「殴られてもこの程度の痛さか。大したことはない」と思えたら相手に強い気持ちで立ち向かっていけるのだという。

 お見合いでもこどものけんかと同じことが言える。独身者がお見合いを躊躇(ちゅうちょ)する要因の1つとして断られて傷つくことを恐れる気持ちがあると思う。私は「断られた時、傷つくかもしれませんが、お見合いを重ねるうちに慣れます。早く慣れてください」とアドバイスしたい。

 お見合い相手から断われたということは単に1人の異性から「私の結婚相手としてふさわしくない」と言われただけのこと。それ以上でもそれ以下でもない。反省すべき点があれば、謙虚に反省すべきだが、いちいち気に病むことではない。異性は星の数ほどいるのだから次の出会いを求めて前向きに活動してほしい。

 

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