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2012年10月 3日 (水)

第52話 アルコール

 お見合いは初対面の男女が結婚を想定しながら会話する場だからどうしても緊張してしまう。その緊張感をほぐそうと、お見合い当日でもレストランなどで食事をする場合、アルコールを飲んだり、女性にも勧める男性が多い。私は自分がアルコールのために多くの失敗をした反省から言うのだが、お見合いやその後のデートといった知り合ったばかりの状態でアルコールを飲むのはお勧めできない。

 酔うことで思わぬミスをしかねないし、そもそも人生のパートナーを選ぶ大事の場にアルコールを入れることで不謹慎な印象を相手に与えてしまう危険性があるからだ。デートを重ねて相互理解がある程度、進めば、お酒が多少入った方が気心が知れる側面もあるが、初対面に近い状態ではデメリットの方が多い。

 私はお見合いした神戸のOLを2回目のデートでおいしいワインがある大阪郊外のレストランにお連れした。彼女は「素敵なレストランですね」と喜んでくれ、会話が弾んだ。私は自分の緊張感をほぐす目的と、若い女性と会話しながらワインを飲める喜びから、ついグラスを重ねてしまった。帰りは大阪駅までタクシーでお送りしたが、その車内で彼女と話をしながら、不覚にも眠ってしまった。

 タクシーが駅に着いて目が覚めると、彼女の表情が硬くなっていた。どうも私は寝ているうちに、大きないびきをかき、タクシー運転手もいるから、彼女にとって気まずい雰囲気になったようだ。女性の横で寝てしまう私の無神経さにも腹を立てたのだろう。私は「しまった」と思ったが、手遅れだった。彼女は硬い表情のまま「さよなら」と言ってタクシーから離れ、そのまま帰っていった。翌日、仲人さんを通じて彼女からのお断りの返事が届いた。

 結婚相手を探すため「合コン」に参加する男女は多いが、ここでもアルコールが入るのが通例だから、不愉快な思いをする女性が多い。私がお見合いした大阪のOLは一流企業のサラリーマンと合コンした時のエピソードを聞かせてくれた。

 彼女は「一流企業のビジネスマンと合コンできる」と聞いて強い期待感をもって出かけた。仕事の都合で遅れて会場に着くと、男性陣はすでに酩酊(めいてい)状態で、女性の体に触るなどやりたい放題。彼女は「このまま居てもろくなことはない」と思い、すぐに会場を出たという。

 「一流企業でしっかりとした仕事をされている方々だから、アルコールが入っていなければ素敵な人たちなのでしょう。でも、あんな醜態(しゅうたい)を見せられれば、お付き合いする気にはなれません。私は結婚相手を探そうとまじめに合コンに参加したのですが、いい加減な態度に接して悲しい思いになりました」と彼女は語った。 

 私は「運命の人」とめぐり合うために異性と出会う機会をできる限り多く見つけるべきだとアドバイスしており、その観点からすれば、「合コン」もその一環だから否定するつもりはない。しかし、いきなりアルコールが入る「合コン」は単なる遊びの場と考えた方が無難だろう。

 知人の女性が「アルコール抜きの『合コン』があれば、参加しやすいのに…」と言っていたが、私も同感だ。友人が自分のガールフレンドの友達を紹介してくれる時なども最初はアルコールを入れない方が賢明だと思う。

 合コン好きの男性が「アルコールが入らなければ、合コンの参加者は緊張してしまう。軽いノリで出会いを演出したいからアルコールは必須アイテムです」と語っていた。しかし、軽いノリだけでは遊び相手を選べても、結婚相手は決められないはずだ。

 お見合いで緊張するのが当たり前のことだ。人生のパートナーとめぐり合うかもしれないのだから真剣勝負の心持ちで臨むべきだ。緊張に耐えて誠実に接すれば、その誠意は相手に伝わると思う。

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